民泊と旅館業、集客面での違いとは?国内OTA掲載の壁を解説

前回の記事では、住宅宿泊事業法(民泊新法)の届出から旅館業の許可へ切り替える際の法的な注意点を解説しました。しかし、この2つの違いは法律上の話だけにとどまりません。実は「どちらの制度で運営しているか」によって、**使える集客チャネルそのものが変わる**という、売上に直結する違いがあります。この記事では、集客面での違いを整理します。
最大の違い:国内OTAへの掲載可否
Airbnbのような海外発のOTAは、住宅宿泊事業法の届出施設・旅館業の許可施設のどちらも問題なく掲載できます。しかし、**楽天トラベルやじゃらんといった国内大手OTAは、原則として旅館業法に基づく許可を取得した施設でなければ掲載できません。**
楽天トラベル自体、住宅宿泊事業法や特区民泊の施設については、本体サイトとは別の「Rakuten STAY」系の民泊専用サイト経由での掲載という扱いになっており、本体の楽天トラベルには掲載されません。じゃらんも同様に、住宅宿泊事業法の届出のみでは原則掲載不可とされており、旅館業法の許可を重視する運用になっています。
つまり、住宅宿泊事業法の届出のまま運営を続ける限り、**国内最大級の集客力を持つ2つのOTAの本体サイトには載せられない**という、集客上の大きな制約を抱え続けることになります。
旅館業許可を取得すると開拓できる客層
楽天トラベル・じゃらんに掲載できるようになることで、Airbnbだけでは届きにくかった客層にリーチできるようになります。特に、高齢者層・ファミリー層・出張利用者は、こうした国内OTAを日常的に使う一方、Airbnbはあまり利用しない傾向があるとされています。すでに紹介した通り、Airbnbユーザーは個人旅行者や訪日外国人観光客が中心になりやすいため、旅館業許可の取得は「Airbnbでは取りこぼしていた層」を新たに開拓する動きだと捉えることができます。
逆に、住宅宿泊事業法(民泊)の集客上の強み
一方で、住宅宿泊事業法には旅館業にはない強みもあります。最大のものが、**旅館業では営業が認められていない住居専用地域でも運営できる**という点です。これは単なる法律上の話にとどまらず、集客の切り口にもなります。
- 「駅前の観光地ではなく、地元の人が暮らす住宅街に泊まれる」という、旅館業の施設にはない立地の魅力を訴求できる
- 「生活を体験したい」「現地の暮らしに溶け込みたい」という、ホテル・旅館とは異なるニーズを持つ層に強く刺さる
- Airbnbは、こうした「暮らすように泊まる」という体験を前面に押し出したブランディングを行っており、住宅宿泊事業法の施設との親和性が高い
「ライセンスの種類」自体がブランディングに影響する
集客チャネルの違いだけでなく、ゲストが施設を選ぶ際の心理にも違いが出ます。
- 「ホテル・旅館」という表示への安心感:特に高齢層やビジネス利用者は、なじみのある「ホテル」「旅館」という区分に安心感を持ちやすい傾向があります
- 「民泊」という表示への期待感:一方で、個性的な内装や、地域に根ざした体験を求める旅行者にとっては、「民泊」という表示自体が魅力の一部になっている場合もあります
つまり、旅館業許可への切り替えは、単に「掲載できるOTAが増える」だけでなく、施設が持つブランドイメージそのものが変わる決断でもあります。
どちらを選ぶべきかは、狙う客層次第
ここまでの内容を踏まえると、次のような判断軸が見えてきます。
- 国内の高齢層・ファミリー層・出張利用者を取り込みたい→ 旅館業許可を取得し、楽天トラベル・じゃらんへの掲載を目指す
- 住居専用地域など、旅館業では運営できない立地の魅力を活かしたい→ 住宅宿泊事業法のまま、Airbnbを中心とした集客に注力する
- 両方の客層を取り込みたい→ 前回の記事で解説した注意点を踏まえ、旅館業許可への切り替えを検討する
年間180日の上限だけを理由に旅館業への切り替えを検討している場合でも、切り替えによって集客チャネルとブランディングが変わるという副次的な影響まで含めて判断することをおすすめします。
まとめ
住宅宿泊事業法と旅館業の違いは、法律上の手続きだけでなく、使える集客チャネルと開拓できる客層そのものに直結しています。楽天トラベル・じゃらんという国内2大OTAが旅館業許可を前提としている以上、通年営業だけでなく集客戦略そのものを見直すタイミングとして、切り替えを検討する価値があります。
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